和式トイレと頭痛
小1の頃、今から63年前のことです。
9つ上の姉と私は、母に
箱根の富士屋ホテルというところに連れて行ってもらいました。
母は今で言うシングルマザーでしたが、
兄弟姉妹4人を、中学からだったり、高校からだったり、大学とか私立の学校に入れてくれたりと、頑張って稼いでくれていました。
母は、浅草で下駄屋を営む両親の元に育ち、
経緯は分かりませんが、
文京区の本郷に旅館を建てました。
旅館の女将だった母は
勉強を兼ねて、高級ホテルを体験するために、
姉と私を箱根の富士屋ホテルに連れて行ったのではないかと推察します。
天井が高く、太い柱、廊下には腰板がありました。
小1の私でも「ここは高級」とわかるどっしりとした造りの洋館で、外人が行ったりきたりしていました。
緑の芝生、点在する木々、初めて見る外国の写真の風景でした。
反対に私が育った本郷の旅館は
道路と敷地を分ける門はありませんでしたが、
お客様は
右側には、大きな石がいくつも配置されていて・・
それを見て、歩きながら石段を数m登って、
大きなガラス戸の旅館の玄関に入るという感じでした。
この右側の石たちは、
子供の私が足をかけて、しがみついて登るような大きな石で、
いくつも配置されて、その間には木が植えられていました。
反対側は旅館の壁でした。
壁と石の間は4m位あって、
広幅の階段状に石が積まれていました。(数歩で一段を昇る感じの石段でした)
番頭さんが毎日ホースで水を撒いたり、夕方の打ち水をしていました。
表からは見えないけれど、奥には小さいながら、庭があって、
大事なお客様をもてなすお部屋からは、
紅葉など、四季が味わえる木が見えて、
飛び石が配置されていました。
(私が幼かった頃の家って、すっごく贅沢な家だったんだと今更ながら思います。)
そんな和風の風景で育った私なので、
富士屋ホテルはテレビで見る外国の世界でした。
私のお目当ては広い庭にあるプールでした。
新しい水着を持参していたので、学校のプールの感覚で入り、覚えたての平泳を5m泳いだけど、水があまりにも冷たかったという記憶があります。
朝食にオートミールが出ました。温かいミルクに入ったオートミールでした。
私は温かいミルクが大嫌い!なので、
外国ではこんなまずいものを食べているのかと、がっかり。
貴重な異文化体験は食べ物で、一挙にネガティブなものになってしましました。
ぐだぐだと、富士屋ホテルについて書いてきましたが、
何が言いたいかというと、
「洋式トイレ」の初体験がこの富士屋ホテルだったのです。
今では、洋式という言葉が要らないほど、トイレといえば「腰掛ける型」ですよね。
「今の子供達は和式トイレで、用が足せない」という話も聞かれるくらい、腰掛け型の洋式トイレが普及しています。
長い間、足の痛みを抱えていた私も、
街で和式トイレに出くわすと、「わー、しゃがむのか?!」と心で叫んでいました。
ここで、やっと、ほんと、やっと、題名の「和式トイレと頭痛」という話題に入ります。
小学校4年生くらいに、
頭痛で、何度か保健室に行ったことがありました。
保健の先生は「どんな風に頭が痛いの?」と訊きました。
私は「トイレでしゃがんだときに頭痛がひどくなる」と答えたのを
およそ60年も経つのに、何故か覚えています。
私の小学生の頃は、
私の生活範囲では洋式トイレなんてほとんどありませんでした。
そう、和式のトイレにしゃがむと頭痛がひどくなったんです。
保健の先生は首を捻りながら
「貧血かもしれませんね」と言いました。
その頃、私は偏食で、鉄分を多く含むほうれん草などは食べなくて・・・
以後、「偏食だから貧血」とずーっと、ホント、ずーっと「偏食の負い目」のような気持ちを抱え、何十年も「鉄分不足」が頭痛の原因なんだと頭の片隅にありました。
健康診断で鉄分不足を指摘されたことはなかったのですが、
幼い頃に保健の先生に言われた言葉は、
頭からなかなか消去することができませんでした。
思春期に初潮を迎え、いつしか生理痛なるものがやってきました。
主には下腹部の鈍痛だったんですが、
時折の頭痛もありました。
3度の出産を経て、生理痛は軽くなったものの不定期な頭痛がありました。
幼い頃からの股関節痛やら、それをかばう不自然な動きから起こる腰痛やら肩こりやら、頭痛やら・・・
子育を含む20年余り、身体のあちこちにさまざまに問題というか・・・訳のわからない、重なり合った痛みや不調に悩まされていました。
65歳の時、数十年悩まされた不調の元凶ともいえる両股関節を人工関節に入れ替えました。
手術後約4年経った今、改めて、股関節の問題は「元凶」だったと確信を得ました。
オペ後、筋トレを重ね、「歩き」が楽しみになって、オペ前にあった不調のほとんどは消えています。
しかし、時折起こる頭痛がありました。
で、いわゆる加齢と肥満からでしょう?!と
「睡眠時無呼吸症候群」を疑いました。
医師に相談して、「CPAP(シーパップ)」を装着して寝るようになったら、不眠はなくなり、頭痛も減りました。
ただ、たまに頭痛があります。
最後は脳を調べようかしら?などと考えていたとき
「気象病」の本とアプリに出会いました。
気圧変動で、身体の不調が起こるというもので、
アプリで気圧変動や不調予測を行います。
「気象病」の対策は
予測の元に、漢方薬の「五苓散」を服用したり、
自律神経を整えたり、耳のマッサージをしたりという対策を行うのです。
最初は、唯一残っている頭痛や倦怠感という自分の不調が
「気象病」かは疑問でしたが、
不調を感じた時にアプリを開いてみたら、
注意を促すサインが表示されることが、頻回にありました。
それ以後は、素直にその通知に従い、
自律神経を整える音楽を聴いたり、時に五苓散を服用したりしています。
原因がわかり、対処法がわかったら、頭痛があっても以前のように気にならなくなりました。
で・・・「気圧」???とふと考えました。
保健の先生が頭痛の原因を「貧血」と言ったことと
私が「トイレでしゃがむと痛みが酷くなる」と答えたことを思い出したわけです。
和式トイレでしゃがむと気圧ではないでしょうが、
三半規管が刺激されて痛みに変動があったのでは?と思いました。
正解かどうかはわかりませんが、私なりにスッキリしました。
60年越しの解決をブログで述べたくなったというわけです。
そのために長々と
洋式トイレの初体験として富士屋ホテル
育った環境、和風旅館「ほてる後楽園」を
述べました。
お許しあれ。
長ーく呟くことができたことで、私は満足しています。
感謝です。